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仙道緑(1000円の男)
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    不快な表現や、表現不足で忌諱に触れることもあると思いますが、何卒ご容赦下さい。

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    ■2006/06/26(月) モンドウ その2

    前回のモンドウはコチラ

    「付き合っている人はいるの?」
    「・・・いません。いたら、彼女が可哀想じゃないですか?」


    「大きな怪我や入院をしたことはある?」
    「ありません。病院は周りに笑顔が少ないので、自然と他の人の笑顔も少なくなって好きじゃないですね。薬の匂いとかは、好きなんですけど。」
    「へぇ、変わってるのね。」
    「非日常が好きな人は、珍しくないと思いますよ。」


    「S?M?」
    「わかる人には、一発でわかるみたいですよ。結構偏っているとか。」


    「トイレの便座下げたの、あなた?」
    「そんなに珍しいことですか?」
    「うん。家族は女性ばっかり?」
    「そんなことはないですけど。」


    「手首細いのね・・・。握力無いでしょう?」
    「うーん、握力はわかりませんが、血管も浮き出てないですし、モテる腕じゃないかもしれませんね。」


    「動物、好き?」
    「表情があって懐いてくれれば、ネコでも犬でも。知らない人より、知らない野良猫の方が好きかもしれません。」


    「仙道、なんていうの?」
    「えっと、なんだったっけ・・・。ちょっと待ってください。メモに書いてあるはずですから。」
    「え、仙道って、偽名なの?」
    「ええ、そうですよ。本名じゃありません。あ、千円の男だから、仙道緑?って書いてありますね。」
    「緑・・・なんて読むの? えん?えにし?」
    「えん、えにし、ふち、へり、みどり、よすが、ゆかり。どれにしようかな・・・。まぁ、そのうち決めますよ。」
    (後で、よし、ゆくりという読み方があることも判明)


    何か質問したいことがあれば、コメントへどうぞ。次回のエトセトラで書いてみます。

    面白かったら、クリックをしていただけると励みになります。


    01:03 | トラックバック(0) | コメント(3) | エトセトラ | Page Top


    ■2006/06/29(木) キッカケ

    繁華街の雑踏の中。一人で歩く女性に、声をかける男性。
    誰もが一度は見たことのある光景だろう。ホストなのか、スカウトなのか、宗教なのか、セールスなのか、ただのナンパなのか。まだ1000円の男をはじめる前、ぼんやりと彼らを見ていたことがある。たまたま座っていた辺りが、その男のテリトリーだったのだろう。何度も何度も女性を求めて往復する姿を、何をするでもなく、体が冷え切るまで観察していた。

    その日の帰りの電車内。徐々に少なくなっていく街灯をぼんやりと目の中に流しながら、僕は先ほどの光景を反芻していた。

    最初の一声で足が止まった女性は、かなりの高確率で男性の話を長時間聞くことになる(その後、どうなるかは男性の話次第だろうが)。ということは、第一声で、女性の足を止めることができることが出来れば、成功率はかなり上がるのでは・・・。厚手のコートで身を包み、目を閉じながら、僕はそんなことを考えていた。もっとも、その時の僕は実際に声をかける立場になるとは思ってもいなかったが。


    初対面の女性の足を止めることができる、第一声。


    ただの暇つぶしにしては、面白い宿題だった。
    電車内や寝る前など、ふとした空隙にアイディアを練る。そんな作業が好きだった。シャンプーの時もそうだったが、人に発表をしなくても、新しいことを考え出したり、推敲をすることがとても楽しかったのだ。

    やがて、べとつく吊り革になんとか捕まる日々に忙殺され、僕は日々を細いオールで漕ぎ続けるのに精一杯になっていた。一人で物事を考える時間は減り続け、まだ見ぬ女性への宿題は、徐々に希薄になっていった。

    そんな冬の日。
    皮肉にも、女性へ声をかけるためのきっかけとなる言葉の元になったのは、僕へ別れを告げる言葉からだった。

    街中で声をかけられたことのある人も無い人も、応援のクリックをしてくれると嬉しいです。


    15:18 | トラックバック(0) | コメント(4) | エトセトラ | Page Top


    ■2006/07/01(土) キッカケ その2

    (食事前、食事中の方は、今回の記事を読んで気分を悪くされるかもしれません。何卒、自己責任でお願いします。)

    どこかで書いたと思うが、僕は酒に弱い。顔はすぐに赤くなるし、足もすぐにだるくなる。酒も、酔って気の大きくなった自分もあまり好きではない。
    飲めと言われれば飲んで潰れるが、次からは、その人の行う飲み会は、やんわりと断って参加しなくなる。そもそも、酒の場で皆を盛り上げるようなタイプでもないのだ。適当に断っているうちに、つまらないやつ、と思われて誘われなくなる。そうやって、ポツポツと飲み会の縁を切ってきた。

    その日の飲み会は、そんな僕と比較的長い付き合いがある友人の、祝いの席だった。彼とは学生時代からの数少ない友人で、ある分野において氷柱の様に冷たく輝く、美しい才能を持つ人間だった。誰もが羨む宝石をごく当たり前のように持ちながら、よく人の優しさに気づく。女だけでなく、男も惚れさせる男だった。そんな彼が長年続けてきた活動が、いよいよ遅すぎる賞を取ったのだという。

    時々、電話をするだけだった僕を覚えていてくれた嬉しさもあり、僕は珍しく浮き足立った気分で参加をしたのだが、一度だけ彼とグラスを合わせただけで殆ど会話を交わすことも無く、引っ張りだこの主役はあっという間にアルコールと人の渦に飲まれていった。

    軽くビールの泡で口を拭いただけの僕は、完全に素面のまま、グラスを片付けたり、ハンガーから落ちたコートをかけなおしたりして暇を潰していたが、あまりに間が持たないのと、タバコの煙で喉が痛くなってきたので、やがて逃げるようにしてトイレへと席を立った。

    忙しく店員さんが駆け回る通路の角を曲がると、グラスの音と乾杯の声も小さくなる。祝いの言葉をかけたことだし、適当に機を見つけて帰ろうか・・・。そんなことを思いながら男子トイレのドアを開けると、居酒屋に良く置かれている大きめの洗面台に両手をかけて、女性が吐いていた。既にかなり酔いつぶれているらしく顔は真っ赤で非常に苦しそうだった。その傍で付き添っていた女性が、こちらを見て、

    「すいません、女子トイレが一杯だったので。」

    と、僕が何も言わないうちから、謝ってきた。予想通りの答えだったので、無言のまま軽く頷いて、個室に入り用を足す。ドアの向こうから、定期的に女性の唸るような声が聞こえ続ける。当然のことだが、あまりいい印象ではなかった。

    やがてドアを開けて手を洗う為に洗面所に戻ると、その女性達に見覚えがあることに気づく。確か、僕と同じ飲み会に参加していた人だったはずだ。お互い、明日街で会っても話もしないであろう仲だが、一応の縁だ。手を洗ってから、

    「大丈夫ですか?」

    と、話しかける。吐いている方の女性はこちらを見ることも無く、洗面台に向かって唸り続けていた。付き添いの女性は、おろおろとしたまま、僕の方を見上げて、何も言わない。
    見ると、洗面台が吐瀉物で詰っている。付き添いの子が焦って水を流したのだろう。洗面台の水位が吐いたモノでかなり上がっていた。

    これも素面の務めか。

    そう諦めて袖をめくると、僕は洗面台の中に腕を突っ込んで栓のあたりを指でかき回し、詰まった吐瀉物を掻き出した。嫌な気分だったが、彼の祝い酒が、誰かの嫌な記憶になるのに比べれば・・・と、勝手な自己満足を嫌悪感に挟んで、なんとか自分の腕の感触に耐えた。
    ゴミ箱に詰まっていたモノをすくって捨て、肘から先を別の洗面台で洗っていると、付き添いの子と少しだけ目が合った。

    申し訳なさそうに無言で目を逸らすのを見て、僕は何も言わずに男子トイレから去る。席に戻って、彼女達の知り合いでも探そう。そんなことを思っていた。

    後の恋人「サキ」とは、こんな、あまりドラマになりそうにないシーンで出会ったのだった。


    酔って失敗をしたことがある方は、応援のクリックをしてくれると嬉しいです。


    00:15 | トラックバック(0) | コメント(4) | エトセトラ | Page Top


    ■2006/07/02(日) キッカケ その3

    彼から番号を教わったというサキさん(二人のうち、看病をしてた方)から電話があったのは、それから数日後。飲み会でそんなことがあったことすら、忘れかけていた頃だった。どちらかというとあまり会いたくないであろう、気まずい出会いだったと思うのだが、一度会って話をしたいのだという。

    「人の為に、自分が嫌なことを出来る人ってすごいと思った。」

    後日、付き合いはじめてすぐの頃にそんな話を聞く。正確には彼女達の為でなく、自分と彼の為にやったことなのだが・・・わざわざ言うまでも無いことだろう。とにかく、友人の縁という、よくある話で僕達は付き合い始めた。二人の共通の知人である彼だけが、心の底からそれを喜んでくれたのが、照れくさかった。


    そして、月日は流れる。二人の話をここで書く気はないが、喧嘩や言い合いもない、静かな一年数ヶ月だった。二人に愛情はあったのか。抱き合った時に湧き上がった気持ちは劣情ではなかったのか。寂しさだけで寄り添ったのではなかったのか・・・僕には今振り返ってもわからない。

    ともあれ、誰にも別れは必ずやって来る。僕とサキさんにも、それは例外ではなかった。




    17:37 | トラックバック(0) | コメント(5) | エトセトラ | Page Top


    ■2006/07/03(月) キッカケ その4

    恋仲だった二人は、どんな別れ方をするのが理想なのだろうか。流れる涙と悲しみが少なければ、それは良い別れなのだろうか。笑顔で別れられれば、それがいいのだろうか・・・。

    その日、狭いバスルームの中で半裸で抱き合う二人を僕の部屋で見たとき。不思議と僕の胸の中にはなんの感情も湧き上がらなかった。仕事で帰れなくなるはずだった僕を、サキさんは化粧をするとき以上に目を丸くして見つめた。男の方の顔は、よく覚えていない。おそらくどこかで出会ってもわからないだろう。

    1秒だけ、何をすべきか考えるために目を閉じると、僕は無言のまま静かにドアを閉めて、近所の本屋へ向かった。僕の背に何か言葉がかけられていたようだったが、その時は聞こえていなかった。今でも、霧がかかったように思い出せない。

    一冊も本を手に取らないまま、本屋で時間を潰して30分程たった頃。電源を消していた携帯電話をポケットから取り出すと、サキさんへ

    「終わったら、鍵を置いて帰ってください。荷物は、また後日にでも。」

    とメールを送った。決定的といえば決定的な場面を見たのだ。特に不思議なことではないだろう。
    感情からではなく、疲れが原因の深いため息をして携帯を閉じた瞬間、眩く光りながら、僕の携帯が命を吹き返す。液晶に書かれた文字を見るでもなく、サキさんからだとわかる。

    「もしもし。メールは見たの?」
    と、僕。
    「もしもし!何度も電話したのよ!」
    と、サキさん。
    繋がらない、会話。深い水たまりに入ったような、嫌な予感が足元に広がる。


    ペースが落ちてしまって、申し訳ないです。中々、書きづらい記事でした。


    23:43 | トラックバック(0) | コメント(5) | エトセトラ | Page Top


    ■2006/07/06(木) キッカケ その6

    「自分のやったことと、僕の気持ちをわかって、そう言ってるの?」
    特に冷静になろうと努めずとも、既に僕には怒る元気も無かった。
    「わかってる・・・けど、ベッドだって使わなかったし、さっきだって、最後までいかなかったんだよ?」
    減刑を求める被告人のように、サキさんは僕に向かって訴え続ける。
    「逆に聞きたいんだけど、なんで僕とそんなに付き合いたいの?一緒にいて、そこまで楽しい人間だとは思えないんだけど。」
    胸の中でビールのように発泡していた、ずっと秘めていた問いが口から飛び出す。派手なことが好きな彼女と、どちらかといえば物静かな僕。何故?という素朴な疑問は持っていたが、まさかそれを伝える日が来るとは思っていなかった。ああ、もう気を使う時は終わっているんだな、と、心の中の理性の部分が再確認をする。
    「そんなに付き合いたいのなら、どうして浮気をしたんだい?」
    という問いは、喉の手前で飲み込んだ。それが、僕なりの最後のプライドだったのかもしれない。

    「だって。サツキとかナナミが、あたし達のことを背が高くて格好良いカップルだって・・・。あたし、そんなこと言われたことなかったから。」

    そう。そんな、こと。

    サキさんにとっては、かけがえのない大切な言葉だったのかもしれない。その価値を伝えるのに表現する力が足りなかったのかもしれない。ただ、その時の僕は自分が洋服やアクセサリーと同じものだと言われたようにしか感じられなかった。そんな友達への外面の為に僕と歩き、恋人として物足りない部分は、先ほどのようにどこかで補っていたのだろう。

    「わかった。もう、わかったよ。後で必ず返事はするから、もう眠らせてくれないか。今日のことは、誰にも言わないから、安心して。」

    床を見ながら悲鳴のように伝えると、サキさんは暫く黙ったまま僕を見つめる。言葉の無い室内で、冷蔵庫が静かに身を震わせていた。
    「ねぇ、いいの・・・?」
    窓の外で電車が通り過ぎた後、サキさんは僕の片腕に両手を絡めてきた。一般的な男性は、怒りと疲れが混じると、性欲になるのだろうか。そんなくだらないことを片隅に浮かべながら、その手を振り払う。
    「お願いだから、今日は帰ってくれないか。」
    視線を合わせることなく告げる僕を困ったように見ると、サキさんは立ち上がり、玄関へと消えていった。

    そういえば、彼女は一度も謝ってないな。

    夢に落ちる前。理性がそんな事実を告げて、煙のように消えていった。

    恋人にずっと言えないことがある人は、応援のクリックをしていただけると嬉しいです。


    22:53 | トラックバック(0) | コメント(7) | エトセトラ | Page Top


    ■2006/07/08(土) キッカケ その7

    サキさんが部屋から去ってからも、僕の生活に大きな変化は無かった。強いていうのなら、材料を使い切ることが出来ないので外食をするようになったことだけだろうか。仕事が忙しかった時期だったのもあったのだろうが、自分に起きたことをくよくよと考える間もなく、別れたばかりにしては明るい気分で、落ちゆく枯葉と共にカレンダーを散らしていった。

    ある、微睡みの日曜日。
    半ば忘れかけていた着信メロディーが、静かに日差しを浴びるカーテンを揺らした。手探りで枕もとの携帯電話を取ると、液晶にサキと表示された携帯電話が、怒りに身を震わせていた。

    「・・・もしもし?」
    軽く咳払いをしてから、電話を取る。
    「ねぇ、緑!?あなた、私とダイスケのこと喋ったでしょ!」
    金管楽器の様な声が、スピーカーの中から僕の鼓膜へと飛び込んできた。
    「ダイスケって誰・・・。」
    左耳に電話を持ち替えて、僕が尋ねる。
    「私が一緒にいた人よ!信じられない。誰にも言わないなんて言っておきながらそういうことするのね!」
    右耳に電話を持ち替えながら、僕は寝起きの頭を働かせる。記憶の中から消えかけていたあの男は、ダイスケというのか。・・・生きていくうえで全く必要のない、素晴らしきムダ知識とは、このことだろう。
    「ねぇ、落ち着きなよ。名前すら知らない男のことを、一体誰に言うっていうんだい。」
    「サツキとナナミによ!なんで私があの二人に説教されなきゃいけないの!?」
    両耳が痛くなってきたので、携帯電話に向き合いながら、僕は考えを整理していた。僕もサキさんも話していないというのなら、ダイスケ君しかいないのでは・・・と、伝えたかったのだが、滝のように注がれる彼女の批判を遡って何かを言うのにはなかなか勇気がいる。
    思えば、付き合っていた頃も彼女が話すばかりだった気がする。こんな所でも、二人は変わらないままなのか・・・と、自嘲的に笑いながら、

    「信じて貰えないかも知れないけどさ、それは誤解だよ・・・。」
    と、情けない声を絞りきって、電波の向こうに何かを伝えようとしたのだが、サキさんの怒声は止まることがなかった。彼女が聞く気にならないと、僕の声は届かないようだ。どうやら電話だと思っていたこの道具は、ひょっとするとトランシーバーなのかもしれない。

    枕元にそっと携帯電話を置くと、唯一の同居人となった観葉植物のパキラを見ながら、僕は「クリーニング屋へ行く」以外の今日の予定を考えていた。

    パキラのように静かに暮らしたいという人は、応援のクリックをしてくれると嬉しいです。


    00:14 | トラックバック(1) | コメント(0) | エトセトラ | Page Top


    ■2006/07/09(日) キッカケ その8

    ひたすら一方的に溢れてくるサキさんの言葉は、のび太君のママの説教の様だな・・・なんて事を気楽に考えながら、僕は枕に頭を乗せて目を閉じる。もう、サキさんに対して特別な感情は全く沸いてこなかった。後少しだけ、話を聞くだけ聞いて、電話を切ろう。それで、終わりだ。そう思うと少し優しい気持になって、サキさんの言葉に耳を傾けた。

    「あなたなんて、私が一緒にいなければ一円の価値もないんだからね、わかってるの?」
    傾けた耳に、いきなり辛辣な言葉が入ってくる。
    僕の、価値か・・・。確かに恋人として魅力がある方ではないのだろう。うっかり聞き流しそうになった言葉が、胸に刺さって留まる。

    その時、何かがチリチリと胸の中で燃え始めたのを、今でもはっきりと覚えている。焦りにも似たこの感情は、悲しみではない。何かを閃いた時の、電流の様な痺れが胸を貫く。

    自分の価値。価値。いくら?時給?

    脳の中の深海で、言葉と言葉のケミストリーが銀色に燃え上がっていく。


    「僕を、○○円で買いませんか?」


    するりと、そんな言葉が頭に浮かんだ。実際に喋ってはいないのだが、電話越しのサキさんに聞かれた気がして、慌てて口を閉じると、僕は顎に手をかけて、閃いたイメージを逃さないように深く考えはじめた。

    ワンコインの方がいいかな・・・百円?千円?一万円?百円は安すぎるか。一万円は、高すぎる。やっぱり、千円だろう。いきなり指を一本だけたてて、女性に声をかけたら、インパクトで足が止まるのではないか。
    サキさんの声が遠くなっているのにも気づかず、僕は形になりつつある「1000円の男」のビジョンを練り始めていた。

    実際に、その言葉を街で歩く女性に使ったのは、それからまた暫くしての話。
    その後、何度かサキさんの友達とは電話で話をしたのだが、サキさんから電話がかかってくることは、二度と無かった。結局、その後ダイスケとも付き合わずに、すぐ全く別の男性と付き合うことになったのだとか。

    サキさんには、もう怒りも悲しみも何も無い。ただ、僕に出来ることがもう少しあったのではないか・・・。1000円の男を経験したからだろうか。今、振り返ってそう思う。1000円の男として出会いたくない人の一人では、あるのだが。

    長くなりました。次回からまた、女性とのエピソードに戻ります。



    よければこちらもお願いします。


    23:13 | トラックバック(0) | コメント(9) | エトセトラ | Page Top


    ■2006/07/18(火) ゴジツダン

    アオイさんと別れ、地元の電車から降りたとき。僕は定期券を取る自分の手を隠しながら、コンビニへとまっすぐ向かった。
    普段、素通りするだけの化粧品コーナーが今日は頼もしく見える。

    「除光液・・・除光液。」

    夜も遅くなりつつあり、明るい店内には、男性のアルバイトと月曜日に発売される新刊の雑誌を立ち読みする幾人の客しかいなかった。僕は腰を落として除光液を探したのだが、煌びやかな商品棚のどれが除光液なのか、見当がつかなかった。専門用語で固められた取扱説明書を読んだ様な手探りの状態で、あれでもないこれでもないと商品を探すのだが、下手をすると、除光液を買おうとして新しいマニキュアを買ってしまいそうな予感すらした。
    店員に聞こうとも思ったのだが、この店内でマニキュアに詳しそうなのは店内放送の秀島史香さんだけだ。それに、このコンビニにはこれからも毎日通うのだ。「マニキュアの人」なんてあだ名は出来れば避けたい。

    暫く棚の前で悩んだ後。僕は、ふとある事を思いついて、コンビニを後にし、自宅へと向かう。
    確か、自宅の収納の片隅にサキさんのポーチがあったはずだ。未練や思い入れがあるので取っておいたのではなく、ただ取りにくるかな?と思って放置して、そのままになっていたものだったが、記憶が正しければその中に除光液があったはずだ。

    部屋に戻り、少し緊張しながら何故か正座でポーチを開けると、記憶の残滓となっていた数々の化粧品が久しぶりに蛍光灯を浴びる。これは確か違う。これはまつ毛をなにやら固めたりするものだ・・・と選別していくと、やがてプラスチックの小瓶で手が止まる。ネイルリムーバーと書いてある瓶の説明文を頭上にかざして読むと、かすれかかった文字で除光液とも書いてある。

    除光液とは、ネイルリムーバーのことだったのか・・・。それなら、さっきコンビニで見た気もする。
    なんて事を思いつつ、床に腰を下ろしてコットンに除光液を染み込ませる。昔の女性の持ち物で、今日会った女性との思い出を削ぐ。サキさんが嫉妬しているとは、とても思えないのになと苦笑しつつ、僕はマニキュアを落とし終えた、小指を見つめていた。

    連休も終わりです。明日からマニキュアを塗りなおすという人は、応援のクリックをしていただけると嬉しいです。

    もう一つ、ランキングに参加してみました。勢いでこっちもお願いします。



    PS:このサキさんのポーチは今も僕の部屋にあります。捨ててもいいのか、捨てるのは失礼なのか・・・ どうしたらいいのでしょうか?コメントお待ちしております。
    00:43 | トラックバック(0) | コメント(6) | エトセトラ | Page Top


    ■2006/07/28(金) ユクエ

    別れ際、僕は道の端で目立たないように、女性から1000円を貰う。一部の例外はあるものの、お金の支払いでトラブルになることは少ない(多目に払おうとする女性もいるが、それは基本的に断っています)。

    ところで、仙道緑は女性から受け取った千円札をどうしているのだろうか。

    観葉植物だけが待つ家に帰り、1000円の男からただの男へと戻った僕は、昨日と同じ高さの天井へ向かってため息をつくと、財布の中から混ざらないように浅く入れた千円札を取り出し、テレビの上に置いてある豚の貯金箱へと入れた。ふくよかな丸みを帯びた、ピンク色の貯金箱の背中には、

    「目指せ!100万円で世界一周!」

    と書いてある。


    ・・・というのは、嘘です。実は、頂いたお金はその日か次の日には使うことが多いのです。帰りの電車で、その日起きた出来事をメモ帳に書く頃には、貰った1000円札は財布の中で他のお札と紛れているのが普通です。
    薄情と言われると言い返せないのですが、そもそも1000円札は女性の足を止めるためのカードなのであって、金額を溜めることは目的ではありません。確かに、くしゃくしゃに握り締められたり、涙に塗れたりした1000円札に少し残るのも、事実なのですが・・・今から一枚ずつ集めるのも、なんだか今までの人と分けているようで気がひけるのです。

    折角blogという形で皆さんとコミュニケーションが取れるので、何かこうすべきだというご意見があれば、お待ちしております。

    薄情だと思う人もそうでない人も、クリックをしていただけると嬉しいです。

    もう一つ、ランキングに参加してみました。勢いでこっちもお願いします。



    名前の募集僕への質問も、良かったらどうぞ。
    23:40 | トラックバック(0) | コメント(3) | エトセトラ | Page Top


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