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仙道緑(1000円の男)
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  • 「1000円の男」の、断片的な思い出。登場人物の名前は、すべて仮名です。
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    初めて来た人は、ルールをご覧下さい。

    不快な表現や、表現不足で忌諱に触れることもあると思いますが、何卒ご容赦下さい。

    また、当blogはリンクフリーです。是非、気軽にリンクしてください。

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    ■2006/04/02(日) ルール

    ○一日1000円で、声をかけた女性の望むことをする(犯罪や、どうしても無理なことは除きます)。

    ○食費や諸経費は女性持ち。

    ○期限は終電の時間か、女性が終了にしたいと思ったとき。

    ○相手から言ってこない限り、体には触れない。セックスもしない。

    ○出張はしません。予約もできません。

    こんなルールで、街中の女性に声をかけています。

    ※登場人物の名前はすべて偽名です。

    また、当ブログはアダルトブログではありません。
    直接的な性の描写はしないつもりです。アダルト系のトラックバックはご遠慮ください。
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    ■2006/04/02(日) カナコ

    「うーんと、じゃぁカナコって呼んで。」
    名前を聞かれたとき、OL風の女性はそう答えた。「名前はカナコ。」ではなく、「カナコって呼んで」と言うのだから、おそらく偽名なんだろう。

    僕としては、その日一日の相手の呼び方がわかればなんでもいいのだが、スラっと偽名が出てくる女性は結構、稀だ。

    化粧や服装が派手じゃないし、髪の色も落ち着いていたので、大人しい人だと思いながら声をかけたのだが、声や視線からは快活という印象がよく合う。どうやら、見当が外れたようだ。

    「じゃ、まずはドトール入ろう?」
    首を少しかしげながらすぐそこに見える喫茶店を指差すと、カナコさんは先に歩き出していた。

    「何でこんなことしてるの?」「仕事とかはしてるの?」
    お決まりの質問をかわしていくと、薄いピンクのソファにゆったりと背を預け、ふーんと呟いた。彼女の中で僕がどう解釈されていったのかわからないが、そう悪い印象ではなさそうだ。こういう質問をされるのは馴れているので、テンポよく答えていた。

    ある程度雑談が進んだころだった。
    「私もね、高校生の時、家出したこと、あるんだよ。」
    伏し目がちにカフェオレに刺さっているストローをかき混ぜながら、彼女はボソっと言った。今までの雑談で纏っていた明るさが急に消えたので、おやっと思ったが、自分から話をしてくれるのはある程度心を開いてくれた証拠なので、ゆっくり頷いて、話を促す。

    「高校生の時ね、お兄ちゃんがどうしても嫌で、出てきちゃった。最初は友達の家に泊まってたんだけど、男の人とホテルに入って、ホテル代出してもらったりもしたよ。」
    初対面の僕にだからこそ言いたいことなのだろう。何も言わず、ただ頷く。

    「誰も、お兄ちゃんの事をわかってくれようとしなかったし、私はきっと見てみぬ振りをされてたんだと思う。」
    ・・・と、そこで話が止まった。断片的な話ばかりなので想像するのは難しいし、あまり意味がない。ただ、僕は話を聞いていた。

    13:19 | トラックバック(0) | コメント(0) | オモイデ | Page Top


    ■2006/04/07(金) カナコ その2

    「ねぇ」
    少しの沈黙の後、口火を切ったのは、やはり彼女だった。
    「ん?」
    首を少しかしげて返事をする。
    「Hとかも・・・するんだよね。」
    辺りを軽く見回して、身を乗り出して小声で訪ねてくる。目は真剣そのものだ。
    「うん。するよ。そっちが言ってこない限り、そういうところには入らないけどね。」

    「そっか・・・。ねぇ。」
    「ん?」
    話の流れからして、くるのかな?と思った。声をかけた女性とホテルに入るのはそう多くないが、別に少ないわけでもない。カナコさんがそう言い出しても、全く驚かない。僕は、1000円で買われたのだ。断る理由も権利もない。
    「・・・」
    期待が半分、緊張と不安が半分で、彼女の言葉を待つ。

    「もし、私みたいに、家出している子と出会って・・・ホテルに行くことになっても、なるべくならHしないで欲しいの。」
    思ってもいない言葉だった。
    「向こうから誘われても?」
    そういうと、困ったように彼女は考える。
    「いや、こんなこと言っても、どうしようもないのはわかってるんだけど・・・ね。」
    そういって、ほとんど減っていないカフェオレをかき混ぜる。
    「私が・・・昔ね、そういうことがあって。自分から誘って、ホテルに入ったのに、それでも・・・なんだかとても悲しかったから。」
    「そっか・・・。わかった。約束するよ。」
    僕が答える。そういうと、ちょっと驚いたようにこっちを見る。その目は、フィルターを通さない、素の表情を見せてくれた。
    「うん・・・ありがとう。」
    安心したように笑って、カナコさんは言った。僕が約束を守るかどうか、彼女がどれくらい期待しているかはわからない。ただ、「約束」という言葉を彼女が大切に思っているのが、僕にも嬉しかった。
    過去、カナコさんにどんなことがあったのか、僕にはもう知る術はない。けど、人の約束を素直に信じられるのなら、なんだか、今の僕はほっとする。

    24時を過ぎてしまえば、僕は1000円の男の契約が切れた、ただの平凡でつまらない男だ。カナコさんとの出会いもそれで終わりになる。
    個人的にそうルールを決めたのだが、たまには24時を超える例外があってもいい。

    まだ見ぬ(おそらく、どことなくカナコさんに似た)家出少女へ、約束はまだ生き続けている。

    さようなら、カナコさん。

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    ■2006/04/07(金) ユキ

    ユキさんと喫茶店に入った時のこと。先にドアに手をかけて、彼女が店に入るのを待っていると、不思議そうな顔をする。

    「わたし、人にドア開けてもらったの初めてかも。」

    それほど意識していなかったので、逆にこっちが驚いた。男運が悪かったのか、それともそんな男は少数派なのか。
    「光栄です。」
    そう言うと、彼女はちょっと恥ずかしそうに首をすくめた。

    さようなら、ユキさん。素敵な男性と出会ってくださいね。

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    19:31 | トラックバック(0) | コメント(0) | オモイデ | Page Top


    ■2006/04/08(土) トモエ

    「本当に何でも言うこと聞いてくれるの?」
    ショートカットの女の子は、何かをひらめいたかのようにピタッと立ち止まると、僕に聞き返した。
    「まぁ、犯罪とかじゃなければね。ただし、諸経費はそちら持ちでね。例えば、ボーリングやカラオケに行ったら、お金はそちらが払うルールだよ。」
    うーんと唇を尖らせて、少し彼女は思案を巡らせているようだ。
    「ちょっと、友達に電話していい?」
    「・・・いいけど。」
    正直を言うと、あんまりよくない。まだ遭遇したことは無いが、こんな事をしている以上、美人局は用心すべき危険だ。

    「もしもし?ユミ?今、暇?○○駅にいるんだけどさ、暇なら来てよ。」
    とりあえず、かけた相手が女性であることに胸を撫で下ろす。

    「今電話した子ね、ユミっていうんだけど、美容師の卵なの。」
    トモエさんは、電話を切ってから、こっちに向き直って楽しそうに言った。動作の一つ一つに笑顔がついていて、可愛らしい。幸せの種を自分で作れるのだろうな、なんて思う。
    「なるほど。ユミさんは美容師の卵ね。で、そのユミさんを呼ぶって事は・・・?」
    職業(?)柄、色々な職の人に会ったが、美容師の卵さんは初めてだ。
    「そう!ユミね、女の子の知り合いは多いんだけど、男の人の髪はあんまり切る機会が無いっていうから、モデルになって欲しいんだ。」
    モデルとは言っても、体のいい実験体では・・・?と、断る事もよぎったが、仮にも美容師の卵なら、そうおかしな事にはならない・・・と思い直し、言葉を飲み込んだ。考えてみれば、こういう予想のつかないことを体験するために、僕は「1000円の男」をやっているのだ。
    ・・・第一、既にユミさんを誘う電話はかけられている。

    雑談の途中も嬉しそうにメールをするトモエさんを見ながら、いつも使っているドトールでユミさんの到着を待っていると、30分ほどでドレッドヘアーの女の子が颯爽と到着した「ユミは格好いい」とトモエさんが言っていたが、確かに絵になる雰囲気を持っている子だ。トモエさんの向かい席に座る僕を見て、一瞬怪訝そうな表情を見せる。
    「こんにちはー・・・。トモエ?」
    僕の会釈を受けた後、説明を求めるようにトモエさんに視線を渡す。

    「ユミ、男の人の髪切りたいって言ってたじゃん?モデルになってくれる人、見つけたよ。」

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    ■2006/04/11(火) トモエ その2

    「・・・はぁ。」
    明らかに訝しげなユミさん。天真爛漫な感があるトモエさんと比べて、ユミさんは慎重だ。まぁ、無理も無いだろう。僕だって同じ状況になったら、そんなリアクションを返すだろう。
    「で、この人は誰なの?トモエとどういう関係?」
    ユミさんの質問には僕が答える。トモエさんとは初対面である事、自分が1000円の男で、時間が来るまで、トモエさんのして欲しいことをする事。
    「・・・はぁ。」
    今度は、ため息だ。(またトモエが厄介ごとを仕入れてきた)とでも言いたそうな視線が、僕とトモエさんに注がれる。
    「わかったわ。せっかく着たんだし、ここまできて断るのも悪いし・・・切るわよ。で、場所はどこにするの?」
    トモエさんのマンゴージュースを一口飲んでから、覚悟を決めるように、ユミさんは言った。

    トモエさんは女子寮なので僕は入れない。ユミさんは自分の家に僕を入れたくない・・・ということで、結局髪を切る場所はラブホテルということに決まった。
    「そっか。お風呂あるから、髪の毛も切れるんだね。便利だね、ラブホって。」
    僕も同感だが、ユミさんがあまり楽しそうではないのを見て、トモエさんに頷くだけにしておいた。ユミさんは当初ラブホテルを使うことに一人反対していたが、他に案が無いから、渋々納得した(させられた?)のだ。

    コンビニで飲み物を買った後、物言いたそうなラブホテルのフロントの視線を三人で突破する。部屋に入ると、トモエさんがベッドにばたんと倒れ、足を伸ばす。ユミさんもその隣にカバンを置き、ベッドに腰掛ける。
    「じゃ、先にシャワー浴びてきてよ。こっちも準備しておくから。」
    そう言って、大きなカバンを開ける。渋谷にある専門学校から直行で来たので、道具は一式そろっているという。

    僕は素直に頷くと、脱衣所で服を脱ぎながら、洗面台の鏡を見る。最後に散髪に行ったのは一ヶ月ほど前だったか。本来の自分のペースだと、まだまだ切る時期ではない。今朝家を出るときは、まさか髪を切ることになるとは思ってもいなかった。「1000円の男」をやっていると、つくづく、想像がつかないことが起こる・・・。それが少し嬉しくて、後ろ髪の伸び具合を満足げに確かめてから、シャワーを浴びる為に浴室へ入る。

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    ■2006/04/13(木) トモエ その3

    シャワーを浴びて、浴室で服を着ていると、トモエさんの歌声が聞こえてきた。備え付けのカラオケで歌っているのだろう。

    「あがったよ。」
    そう言って部屋に入ると、ユミさんが立ち上がる。
    「部屋の中で切ったらホテルの人が大変そうだから、浴室に入ろうか。」
    と言って、カバンを持ち上げる。

    まだ湯気と温もりの残る浴室に入り、シャワーで濡れたプラスチックの椅子を軽く拭いて座ると、ユミさんは馴れた手つきでバスタオルを僕の首にまく。
    「苦しくないですか?」
    流石、様になっている。将来のユミさんの姿が少しイメージできて、嬉しくなる。
    「ええ。大丈夫です。」
    「・・・なんで笑ってるの?」
    「いえ。なんでもないよ。お願いします。」
    知らぬ間に頬が緩んでいたのだろう。リラックスしている僕の表情に比べ、ユミさんの顔は真剣そのものだ。
    トモエさんも一緒に浴室に入ってきたのだが、少し僕たちを見た後、ふんふんと何かを納得したかの様に部屋に戻っていった。まだ、カラオケで歌いたい曲があるのかもしれない。
    「で、どういう髪型にしたいんですか? あたしも勉強中だから、そんなに難しいのはできないですけど。」
    と質問され、返答に困る。普段は美容師さんに任せっぱなしだし、まだまだ一ヶ月位は髪を切ることを考えていなかったので、何のプランも無かったのだ。

    「うーん、一応会社員なんで、あんまりエキセントリックな髪型はダメですけど、ユミさんの好きなようにしていいですよ。ただ、どうせ切ってくれるんだから、今と違う髪型にしてみて下さい。」
    「・・・ハイ、わかりました。」
    そう言うと、腕を組んで少し考えた後、ハサミを動かし始めた。
    チャキチャキと金属が重なる音が、部屋の中で静かに響く。
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    ■2006/04/15(土) トモエ その4

    「ねぇ、いつもこんなことしてるの?」
    少しの沈黙の後、ユミさんが話しかけてくる。「1000円の男」をやっていると、必ず聞かれる質問だ。
    「そうだね。予定が無い日とかは、大抵この辺で声をかけてるよ。」
    「ふーん・・・。トモエは、ああ見えてちゃんとナンパとかは断る子なんだけどなぁ。今日電話かかってきて、男の人といるって聞いてビックリしたよ。」
    「そうだね。僕も最初に声をかけたとき、スルーされそうになったけど、『一日千円でなんでもするよ』って言ったら、立ち止まって考え始めたよ。それだけ、普段君の事考えてるのかもね。」
    一瞬、ハサミが止まる。

    「そっか・・・。でも、ダメだよね、今日はたまたまいい人だったけど、何があるかわからないもん。」
    「いい人・・・か。そりゃどうも。」
    僕の人生の中で悪い意味で言われ続けた言葉が、今は少しくすぐったい。二人の話なんかも聞いてみたかったが、集中しているようなので、こちらから話しかけるのはやめておいた。

    一時間ほど経っただろうか。
    「はい、できたよ。ドライヤーでセットするから、洗面所いこう。」
    バスルームに髪の毛を多少撒き散らし、僕の散髪は終わった。掃除の人にはちょっと申し訳ないことをしたかな・・・と思う。
    ワックスとドライヤーでスタイリングされていくと、鏡の中に少し若返って活発そうになった僕がいた。彼女には僕がこう見えていたのかと思うと、興味深い。
    「ありがとう。いつも同じ人に切ってもらってたから、なんか新鮮だよ。」
    手際よく片付けをはじめるユミさんにお礼を言うと、嬉しそうに小さく頷いた。
    「トモエー。終わったよーって・・・あれ?」
    部屋の中では、いつの間にかカラオケの音が消えていた。代わりに、ベッドの真ん中にこんもりと布団で出来た山がある。ユミさんが布団をめくると、トモエさんはすうすうと寝息を立てていた。
    「もー。トモエ!起きて!終わったよ!出るよ!」
    ポンポンとトモエさんの肩をたたくユミさん。僕は先に靴をはいてしまったので、ドアの外で待つことにする。
    「お待たせー。あ、さっぱりしたねー。」
    廊下で少し待っていると、二人がバタバタとでてきた。トモエさんが嬉しそうに僕の髪の毛の検証をする。僕もユミさんも、少し照れくさい。
    「さっ、いいから、出よ出よ!」
    そう言って部屋のキーをとると、さっさと行ってしまう。三人で小さなエレベーターに乗ったときも、トモエさんは僕の髪の毛をいじったり捻ったりしていた。僕は別にかまわなかったのだが、ユミさんはそれが恥ずかしいらしく、一番顔を赤くしていた。
    「じゃ、ここで。」
    フロントで料金を払い、ホテルから出ると、ユミさんがそう言った。駅から逆方向の家に帰るようだ。トモエさんもそれについていくらしい。
    「うん。髪の毛、ありがとう。嬉しいよ。」
    そういうと、ユミさんは、うん、と小さく言って踵を返す。トモエさんは、財布を開いて僕に1000円を渡す。
    「今日はありがとうね。」
    「いや、こちらこそ。いい友達だね。」
    そういうと、トモエさんは嬉しそうに笑い、じゃあねと手を振る。僕も手を振り替えしたその時、トモエさんが思い出したように言った。
    「そういえば、エキセントリックってどういう意味?さっき、ユミに知ってる?って聞かれたんだけど・・・1000円さんは知ってる?」

    「うーん、一応会社員なんで、あんまりエキセントリックな髪型はダメですけど、ユミさんの好きなようにしていいですよ。ただ、どうせ切ってくれるんだから、今と違う髪型にしてみて下さい。」



    ・・・髪を切る前に僕が言った言葉だ。ちょっと襟足がヒヤっとしたのは、夜風のせいだけでは、無いのかもしれない・・・。

    エキセントリック【eccentric】
    性格などが普通と著しく変っているさま。突飛なさま。風変り。奇矯。(広辞苑より)

    さようなら、トモエさん。これからもその明るさで素敵な友達を沢山作ってください。

    さようなら、ユミさん。格好いい美容師さんに、なってくださいね。・・・それと、知らない言葉は遠慮なく聞き返しましょう!

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    14:13 | トラックバック(0) | コメント(2) | オモイデ | Page Top


    ■2006/04/16(日) キオク

    「こんばんは。もしお暇でしたら、今日一日僕を1000円で買いませんか?」
    寒さの残る春の夕方、街中で声をかける。
    「い、いえ・・・いいです・・・。」
    困ったように苦笑いをして去って行く、ピンクのマフラーの女性。
    帰りの電車の中で座った時や、湯船で雑誌を読み終わったとき、ふと僕を思い出したりするのだろうか。

    「あの人はなんだったんだろう?」

    あの女性に刺さったオモイデのカケラは、いつまで残るのだろう。
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    01:31 | トラックバック(0) | コメント(2) | エトセトラ | Page Top


    ■2006/04/17(月) マキコ

    「ふーん。なんでも、ね。じゃ、買い物に付き合ってくれる?」
    「有能そうなOL」の印象に違わず、マキコさんの決断は早かった。
    声をかけた後、喫茶店に入って二人でその日する事を決めるのがよくあるパターンなのだが、マキコさんは「1000円の男」の説明の件だけで、今日する事を決めてしまった。

    「買い物ね。勿論いいよ。では、お名前は?手は繋ぐ?」
    こんな質問も、いきつけのドトールの中でするのが、いつものパターンだ。
    「私はマキコ。手は・・・今はいいわ。ただ、後で繋いで。」
    最初に警戒していた人が、緊張が解けるにつれて手を繋ぐようになるのは、そう珍しいパターンではないが、「後で繋いで」と宣言されたのは、今までに無いケースだった。何か変わった事があるのかなと期待を膨らませて、僕は深く頷いた。

    「じゃ、こっちのビルだから。」
    そう言って歩き始めるマキコさんに、歩を合わせる。それが彼女の性格なのだろうか。それとも、もう買いたいものは決まっているのだろうか。彼女の歩みには迷いが無い。身長180cmの僕のペースよりも早く、マキコさんは進んでいく。

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